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開発・製造部長の話その2

〜ヒダさんインタビュー

· 開発ストーリー

道具を使う(前編)

 その1で話したように、私の育った環境には普通のご家庭にあるような工具はもちろん、何に使うのか今見ても分からないようなものまで、沢山の道具があふれていました。

 HOMARE(ほまれ)プロジェクトが走り始め、頭の中にあるデザインを何とかして現実の肩当ての形に現わさなくてはならなくなり、どのホームセンターでも売られている建材2×4材を買ってきて、ノコギリで肩当ての幅くらいの大きさに切り、そこからヤスリを使って成形していくのです。この時は、沢山の道具に触れてきた経験から、難なく形に出来ると軽く考えていたのです。

 

 はじめは家にある目の細かいヤスリを使って削っていましたが、あまりにも削れる速度が遅く仕事がはかどらないので、「鬼目」という、いかにもいっぱい削ってくれそうな荒削り用のヤスリを買い、期待を込めて力任せに一所懸命こすろうとするのですが、これが驚くほど引っかかるばかりで、思ったように削れなかったのです。やはり、安物の道具はダメだな。

 

 困っていたとき、ずるいことを思い出します。

「あそこにはバンドソー(電動ノコギリ)があった!」

 

 世界中から期待を寄せられる、超一流の楽器職人に頼んで、電動ノコギリで大まかな形に切ってもらい、そこから削れば間違いなく早いし、プロの使うヤスリを使わせてもらって、もっと効率的に製作出来る。

そう思い、研究や製作に充てている営業時間外に無理やり押しかけたのです。

 少し迷惑そうな顔をしながら、それでも流石、ものの数分で切ってくれて、ヤスリも貸してもらえました。ところが、プロ用のヤスリも引っかかるのです。

見るに見かねた職人が「ものすごい使い方してるな。なんだ、ヤスリの使い方も知らないのか。」と、半ば哀れむようにして正しい使い方を教えてくれました。

教わった通りに使っているはずなのに、その日は思ったように出来ないまま終わりました。

 

 家で黙々と作業を続けてしばらく経った頃、我が家の「鬼目」が、まさしく鬼のように木を削り始めました。しかも、あまり疲れなくなっていたのです。

教わったことを基に、木の角度を変えたり、ヤスリを動かす方向を変えたりしながら経験を積んでいくうち、道具を使うことの意味をつかんでいったのです。

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